感動ストーリー
story

- 空間時間デザイナー
私が愛知へ異動し、店長として迎えた初めてのお客様を今でもよく覚えています。
オープンしたばかりの店舗は連日多くのお客様で賑わい、私自身息をつく暇もないほど慌ただしい毎日を送っていました。新店舗を楽しみに、遠方の店舗をご利用いただいていたお客様まで足を運んでくださる中、ご夫婦との出会いがありました。
店内でWEBBソファーをご覧になっていたのでお声掛けすると、ご主人様は私の顔を見るなり笑顔でこう言いました。
「今日は買わないからね。」
その一言に思わず戸惑いましたが、「ぜひ座り心地だけでもお試しください。」とお話を始めました。
商品の特徴や価格帯をご説明すると、今度は
「店長なんだから、もう少し安くしてくれるんでしょ?」
冗談交じりに返ってきます。隣で奥様は終始楽しそうに笑っていらっしゃいました。
お二人との会話は自然とソファだけで終わりませんでした。静岡から下見に来られたこと、旅行が趣味で翌週には福岡へ出かける予定があることなど、様々なお話を聞かせていただきました。一方で、ソファーは気に入っていただけていることは伝わるものの、ご予算については慎重に考えられている様子でした。それでも私は、このソファならきっと長く満足して使っていただけるという確信がありました。なので、生地サンプルや施行写真をお見せしながら、実際の暮らしをイメージできるよう、一つひとつ丁寧にご案内を続けました。
最終的には展示品の収納家具も合わせてご案内し、お見積りをご覧いただきながら約1時間お話を重ねました。
その間もご主人様からは何度も「店長ならもう少し頑張れるでしょう?」と笑顔で投げかけられましたが、値引きではなく、商品の価値を伝えることを大切にし続けました。
そして最後に、ご主人様は静かにこうおっしゃいました。
「俺も営業やっているけど、今日は負けたよ。」
その言葉をいただいた瞬間、この商品の魅力だけでなく、自分の思いもしっかり伝わったのだと感じ、とても嬉しかったことを今でも覚えています。
ご購入後もお二人とのご縁は続きました。
静岡からわざわざ豊川店まで顔を出してくださり、差し入れをもってきてくださることもあれば、お正月のご挨拶に立ち寄ってくださることもありました。オットマンや雑貨を追加でご購入してくださる機会も多く、「浜松には店舗はあるけど、やっぱりここに来たい」と足を運んでくださることが、何よりうれしかったです。
このお客様との出会いを通して、家具を販売すること以上に、「人との信頼関係」を築くことこそが、この仕事の一番の魅力なのだと実感しました。



